環境保全型農産物

見沼野菜のコンセプト

「見沼野菜Ⓡ」※は、埼玉県さいたま市の見沼たんぼで、環境への負荷を減らすため農薬や肥料を使用せず、見沼の土壌や微生物を活かした環境保全型農業で生産される野菜です。

有機JAS認証による有機栽培や、いわゆる自然栽培・自然農法といった栽培方法と基本的な考え方は同じですが、食べる人の安全・安心だけでなく、自然環境へも配慮した農法であることを表現するため、あえて”環境保全型農業”と表記しています。また農地の景観や生物多様性の保全など、農業の有する多面的機能にも貢献していきたいと考えています。

日本の有機農業への貢献

フランスやイタリアなどEU各国では有機農産物のシェアが5~10%の国が多い中、なぜ日本では1%以下なのか?それは有機農業が食べる人の健康に良いだけでなく、自然環境や気候変動の変化に資する農業であると位置づけられ、国家間のシステム(共通農業政策)として推進されているからだと言われています。環境のために国の補助金や消費者が野菜を購入することで生産者を支えていく。農水省でも2050年に有機農地を25%とする目標(いわゆる”みどり戦略”)を打ち出していますが、欧米の有機農業のあり方が参考になるのではないでしょうか。(「見沼たんぼへの提言」ページも参照ください)

見沼野菜は、生産者グループ「見沼野菜生産組合」によって生産・販売され、環境保全型農業の実践によりさいたま市の環境保全型農業直接支払い交付金の申請をおこなっています。

※見沼野菜のロゴマークは、2020年6月(株)こばやし農園により商標登録されました。

見沼たんぼの土壌とそこから育つ野菜をイメージしたロゴマーク

野菜の根の深さに注目

野菜の根は想像以上に土壌の深い所まで伸長しています。ニンジンやタマネギなど一般的な野菜でも1~2メートルの深さにも根を伸ばしています。

●野菜の根の深さ(1マスは30cm)

一方で、地下1メートルほどに有機物の堆積層や地下水を蓄えている見沼たんぼでは、雨が降らない時期でも人間が施肥をしなくても野菜たちはこの地下資源を使って生育することが出来るのです。

見沼たんぼでは、ジャガイモ・里芋などの芋類や、大根・ニンジン・カブなどの根菜類が特によく出来ます。

見沼の土壌を活かす

見沼野菜の栽培方法は、2つの考え方のベースから成り立っています。1つは見沼たんぼの土壌特性(地下の有機物層、地下水)を出来るだけ活かすこと、もう1つは土中の微生物を活かすこと、です。

この2つの考え方から、以下のような栽培方法にたどり着きました。

①農薬・肥料を極力使わない

見沼野菜では、農薬・肥料を使用しない自然栽培(※)といわれる栽培方法で育てられます。その理由は、安心・安全に野菜を食べてもらうことはもちろん、見沼たんぼの特性を活かせば、肥料も必要ないと考えているためです。むしろ過度な施肥は、害虫や病気の原因になったり、外観は立派で大きくても味がボケた野菜が出来てしまうと考えています。

また土中の微生物にとっても、農薬や化学肥料は良い影響を与えません。

※自然栽培の定義はさまざまですが、こばやし農園ではトラクターなどの農業機械や各種資材(不織布、マルチ、ビニールトンネルなど)は使用しています。

②雑草をすき込み、適度に畑を休ませる

肥料を使わない代わりに心掛けていることは、自然に生えてくる雑草を堆肥の代わりに土に鋤き込むこと、そしてすき込んだ雑草が良く分解し、土中の微生物が活発に働くように畑を酷使せずに適度に休ませる、ということです。はたから見ると雑草が目立つ畑にはなりますが、土壌のためにはむしろ適度に雑草が生えている方が良いのです。

栽培スケジュール

野菜の品目は年間50~60種類。細かい品種まで入れれば100種類近くにもなります。ビニールハウスを使わない露地栽培のため、野菜が出来ない時期はありますが、その季節に合った旬の野菜にこだわり栽培しています。(下記の品目は一例です)

稲作への進出

2021年より、野菜だけでなく田んぼへも活動の領域を広げています。江戸時代に開拓された田んぼも今ではほとんど無くなり、「見沼たんぼ」は名前だけになりつつあります。そのため田んぼの保全活動の一環として水田を借り受け、農薬・肥料を使わずに稲作へのチャレンジをおこなっています。